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【英国ブランドの紅茶】ハイグローヴのアールグレイ

こんにちは、銀猫です。

今日はイギリスのちょっと珍しいブランド ハイグローヴ(Highgrove)の紅茶、アールグレイについて紹介していきます。
こちらは、ブランドそのものが少し特殊なこともポイントです。
知ってから飲むと「そんなブランドがチョイスした紅茶って?」とさらに楽しめるので、そのあたりもざっくり説明しつつご紹介していきますよ。

ちなみに日本でも販売されていますが、店頭に行けばどこでも買えるわけじゃない…!っていう紅茶です。
紅茶缶もティーバッグも上品なデザインなので贈り物にもおすすめですよ。

それでは、どんなブランドなのか見ていきましょう!

ハイグローヴ(Highgrove)って?

 

ハイグローヴはとても簡単に言うと、イギリスのチャールズ国王が設立したオーガニック食品を中心に扱うブランドです。(設立は皇太子時代)
このブランド名自体がチャールズ国王の邸宅「ハイグローヴ邸」にちなんでおり、ブランドのロゴもチャールズ皇太子の紋章をアレンジしたもののようです。

ブランドの広報も兼ねているハイグローヴガーデンの公式Twitterでは、四季折々の自然豊かな風景が発信されています。

https://twitter.com/HighgroveGarden/status/1515616198427357185

英国でこのハイグローヴの商品を扱うことが公式に許されているのは、由緒ある百貨店のフォートナム・アンド・メイソンのみ。
日本でも、フォートナム・アンド・メイソンが代理店となって商品を管理・販売しています。

日本国内でハイグローヴの商品を店頭販売しているフォートナム・アンド・メイソンは以下の3店舗のみです。

都内での購入でしたら、チャールズ国王が皇太子時代に売り場を視察されている日本橋三越本店の店舗がおすすめです。取り扱い品目も一番多く、紅茶やジャムのほかにエコバッグなども販売されていました。2019年の視察の様子(婦人画報より)

どんな商品が売られているのか

ハイグローヴは紅茶ブランドというわけではなく、本国イギリスでは蜂蜜やワイン、シャンパン、チョコレートなどが手広く販売されています。

参考:イギリス本国の公式通販サイト
https://www.highgrovegardens.com/collections

とくに、ハイグローヴ邸の自然豊かな庭園の中で飼われているロイヤルミツバチ(!?)から採取した蜂蜜はとっても有名みたいです。

日本で一番大きな取扱店となる日本橋三越の店頭で見てみましたが、今のところ日本では紅茶とジャムのみの販売になっているようでした。
今後、日本での取り扱い品目も増えていくといいですね。

プリンス・オブ・ウェールズのプリンス・オブ・ウェールズ

チャールズ国王は、エリザベス2世女王在位中の皇太子時代にこのブランドを設立しています。
当時はプリンス・オブ・ウェールズ(Prince of Wales)という称号でした。(プリンス・オブ・ウェールズは、代々次の王になると思われる方に与えられる称号)

一方、プリンス・オブ・ウェールズというブレンド名の紅茶がありますよね。身近なところだとTWININGSなどが有名でしょうか。

 

この有名なブレンドはなんとハイグローヴからも販売されているんです。
つまり、今現在プリンス・オブ・ウェールズ(チャールズ皇太子)監修の「プリンス・オブ・ウェールズブレンド」が存在しているわけですね。
ブレンドは専門のティーブレンダーが行っているはずではありますが、間違いなくブランドオーナーの好みも反映されているはず…。
一体どんなブレンドに仕上がっているのか気になってきませんか?

私はこのプリンス・オブ・ウェールズをお裾分けで頂いて飲んだことがあります。
プリンス・オブ・ウェールズというブレンドがお好きなら、この面白い状況も含めてきっと楽しめると思いますよ!

『ハイグローヴ(Highgrove)』のアールグレイはこんな感じ

それでは、長くなりましたが今日はそんなハイグローヴから出されている紅茶、アールグレイを飲んでいきます。

フォートナム・アンド・メイソンの店頭で購入し、お値段は缶入りタイプ110g入りで1缶3,240円でした。

通販ページはこちら https://e-shop.fortnumandmason.co.jp/products/detail.php?product_id=274

輸入コストがかかっていることを考えると、まあまあ現実的な価格におさまっているような気がします。
缶のデザインがシックでかわいいので、飲み終わってから飾っておいてもよさそうですね。

 

ちなみに、日本の紅茶ブランドのような缶の中にさらに袋が入っているタイプではなく、内蓋もなしで缶に直に茶葉が入っています。
(蓋も簡単に開けられるタイプなので、変質させたくない場合は早めに開けて飲み始めたほうが良いかもしれません)

アールグレイは紅茶ブランドならほぼ必ず取り扱っているほどポピュラーなブレンドですよね。
だからこそ、ブランドの信条や性質がよく反映される紅茶だと思っています。

アールグレイにも色々なタイプがありますが、このハイグローヴのアールグレイはベースに中国紅茶を使っているのも大きなポイント。
私はアールグレイの中では中国紅茶ベースのタイプが大好きなんです…!
このタイプは年々見かけなくなりつつありますが、ブレンドの成り立ちを読む限りでは一番伝統的なタイプでもあるようです。

ハイグローヴのアールグレイを実際に飲んでみた

それでは、実際に淹れていきましょう!
抽出条件は、ハイグローヴの本国版推奨条件を一旦全部無視した6g300ml3分です。
今回はミルクティーも試したいので、3分経った時点で1カップ分を取り出した後、茶葉を抜かずにポットに残してさらに抽出させます。

ちなみに、本国の通販サイトによると、推奨条件は「Use one and a half teaspoons per person and allow to brew for five minutes 1人あたりティースプーン1杯半を5分で抽出すること」です。
カップもティースプーンも大きさが色々あるので、大まかな基準ということでしょう。

まず、茶葉の様子がこちら。


パッと見た感じでは中国紅茶らしい黒々とした茶葉が多いです。茶色い葉もところどころ見えますが、乾いた状態ではあまり目立ちません。わずかに茎のような部位が入っていて、甘味のバランスをとっていそうです。ブレンドの内容は中国紅茶とセイロン(スリランカ)紅茶、香料とシンプルです。

 

香りは、しっかりとしたベルガモットの香り、中国紅茶の煙香、甘さを予感する茶葉の香りがあります。現代のアールグレイはベルガモット以外の柑橘類を加えたり花びらを加えることがありますが、このハイグローヴのアールグレイはベルガモットのみで仕上げているようです。
ベルガモット自体は比較的はっきりと香りますが、天然成分にこだわっているためか、香りで酔ってしまうような感覚はありませんでした。

3分蒸らしてストレート用に1杯分取り出してみたのがこちらです。

飲んでみると、意外なほどさらっとした雰囲気です。軽め寄りの中程度のボディで苦渋はなく、中国紅茶特有の重ったるい甘みや酸味もありません。それでいて、清涼感のあるベルガモットの奥から火を連想する甘みが出てきて、穏やかな雰囲気にまとまっています。
このバランスなら、ストレートで少しレモンを添えて頂いてもおいしいのではないでしょうか。(英国の公式商品ページではレモンティーも勧められています)
ベースにあまりクセがないので、中国紅茶が苦手という方でも比較的飲みやすいブレンドになっていると思います。

ミルクティーにしてみた

個人的な好みですが、中国紅茶ベースのアールグレイはミルクティーもおすすめです。
インド・スリランカの紅茶ベースとは全く異なる雰囲気があるので、共感してくれる方も多いはず。

1カップをゆっくりと飲んでいる間、さらに抽出され続けた茶液はこんな感じになりました。

結構赤橙色っぽい水色になっていますよね。味わいも先程とは異なっており、より中国紅茶らしい特徴が出てきています。具体的には、やや酸味がかった味わいとスモーキーな風味が強く感じられました。ストレートだと飲みにくい程度のクセがあります。煙香の方が勝っていて、ベルガモットの香りはやや控えめになっていました。

ここにミルクを注いでいきます。ベースが少し落ち着いた印象だったので、様子を見ながら量を調整。こんなものでしょうか。

飲んでみると…
おお、中国紅茶ベースのアールグレイのミルクティーだ!

ミルクを加えることで酸味は気にならなくなり、しっとりした煙香が浮かび上がってきています。口の中でゆっくりとベルガモットが開いて、なんともエキゾチックでいいミルクティーです。
ストレート時にやや軽めの印象があったのでヒヤヒヤしていましたが、しっかり蒸らせばミルクに耐えるボディになってくれるみたいですね。

茶殻

茶殻を見ると、このブレンドの持つ軽妙さのようなものが意図的に作られているように見えました。

葉を触るとどれも適度な厚みがあってしっかりしています。大きさもブレンド用としてはまずまず、5分抽出も少し調整すればできそうです。つまり、TWININGSのアールグレイのベースが軽くて物足りないのとは全く別の理由のはず。

中国紅茶の風味はアールグレイに必要なので軸にしたいが、クセを出しすぎずさらっと飲んでもらいたいのでスリランカ茶葉を混ぜて全体の底を軽めにふわっと持ち上げるように仕上げている、という気がします。

5分蒸らしやってみた

日本の軟水では想定通りに出ないかな…?という不安がありましたが、3分時の風味的に大丈夫そうだったので公式推奨の5分蒸らしもやってみました。
湯量を若干多めに調整しつつ5分蒸らしてみた結果、これはとってもおすすめでした!

通常、蒸らし時間が長くなればなるほど茶葉のネガティブなポイントが出やすくなります。
渋み・えぐみが特にわかりやすいのですが、このハイグローヴのアールグレイは元々ベースに苦渋がなく、その点は特に問題なし。

むしろ3分時には少し物足りなかった茶葉の甘みがよく伸びて、中国紅茶の特徴もしっかりトップに出るようになりました。
ミルクティー向けに長く蒸らしたときほどの酸味は出ておらず、ストレートでもたっぷり飲めるバランスです。

お住まいの地域によって抽出され方は異なりますが「3分では少し物足りなかったな」という方は、5分までを目安として徐々に蒸らし時間を長くしてみるのもおすすめです。

ハイグローヴのアールグレイの味わいの感想

それでは、ハイグローヴのアールグレイについて、ポイント別にまとめてみます。
アールグレイは色々なタイプがありますが、これは伝統を踏襲しつつ現代人向けに微調整してくれているタイプかな?と感じました。

評価は、公式が勧めている5分蒸らし時の方に寄せてあります。

渋み ★☆☆☆☆
香り ★★★★☆
重厚感★★☆☆☆
甘み ★★★☆☆

お茶単体で飲むとやや物足りなく感じてしまうかもしれないほど、上品にまとまったアールグレイです。軽快さを出す傾向は現代らしいですが、ベースに中国紅茶を使用し続けているため、近年ありがちな軽めのベースを使っているがゆえの青臭さなどはまったくありません。

苦渋がない分、手元で調整してもコクを出すのは難しそう。濃く入れすぎると酸味に寄ってしまうところだけ注意すれば扱いやすいブレンドです。3分では少し物足りない方もいるかもしれませんが、そういう場合は5分蒸らしを試してみると感想がまた変わるかもしれませんね。

元々オーガニックにこだわったブランドなので、ベルガモットの香りも天然成分のみ使用しているようです。ベルガモット特有のハーバル混じりの華やかな香りをはっきりと主張するのに後を引きすぎることがありません。私は香りで酔いやすいタイプですが、いわゆる「しつこい香りで酔ってしまう」という感覚は全くありませんでした。

近年、さまざまな柑橘やハーブを混ぜた多層的なアールグレイが多数登場するなかでは珍しい、伝統的かつ軽妙な雰囲気のあるタイプです。

ハイグローヴのアールグレイのおすすめの楽しみ方

このお茶は優美なデザインの缶に入れられている上にしっかりしたブランドの品なので、飲む前はなんとなく「冬のデザートに合わせてみたいなー」などと思っていました。しかし、飲んでみると印象がガラッと変わりました。

口残りもなく後口もスッキリしているので、どちらかというと食時中のお茶に選びたいタイプさらに言うなら、イギリスらしいパイ包みのお料理やガッツリした肉料理とペアリングしたくなりました。クリスマスなら、デザートのケーキではなくてローストビーフやチキンに合わせたいタイプです。

普段は風味が混ざるのが嫌でフレーバードティーを食中茶に選ばないのですが、このアールグレイとイギリス料理ならきっとハマるだろうなという雰囲気があります。
適度に油脂をさっぱりさせてくれそうで、その上風味が口内に残りすぎない絶妙お茶なんです。

食卓では、1ポットでいれて食事中にストレートで楽しんだあと、食後にポットに残った濃くなった部分でミルクティーを楽しむ…っていう飲み方もおすすめですよ。
これまでベルガモットの背後に潜んでいた中国紅茶の風味が前面に出て、ガラッと雰囲気が変わるのが楽しいです。

終わりに

今回は、ちょっと独特な立ち位置のブランド「ハイグローヴ(Highgrove)」のアールグレイを飲んでみました。
「中国紅茶を使う」「香りはベルガモット」という伝統的な部分を守りつつ、従来の重厚でクセが強い中国紅茶が全面に出たタイプとはどこか違う雰囲気を持つアールグレイでした。

どこにでもありそうなブレンドだからこそ独自色が出ていて、ハイグローヴらしさが伺えるような気がしましたよ。

缶のデザインもブランドの沿革もしっかりしているので贈り物にもぴったりです。
日本国内ではちょっと珍しい知る人ぞ知る紅茶なので、気になった方はぜひ試してみてください。

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