こんにちは、銀猫です。
今日は2023年のルフナの春茶が2種類、しかも同一茶園で入手できたので飲み比べをしてみました。
使用したのはどちらも青山ティーファクトリーさんの茶葉です。
FF1等級とFFEXSP1等級(金芽入りタイプ)って風味の面ではどう違うのか?
ざっくりですが、最近よく見るスペシャルなお茶の雰囲気が掴める比較になりました。
今回のざっくりした方向性
今回やってみたかったのは「ある程度条件の揃ったルフナ」の飲み比べです。
使用したのは、
- ニュービターナカンダ茶園のFF1
- ニュービターナカンダ茶園のFFEXSP1
です。
どちらも青山ティーファクトリーで購入しているため、方向性もある程度揃った状態で比較できました。
等級が違いすぎると「それはそうだろうな」という結果になってしまうので、今回はほぼ同じじゃない?って言われてしまいそうなこの2種類を選んでいます。
摘み方や製茶の細かい条件までは難しいものの、以前から気になっていた
「金芽入りタイプ」とそうでないタイプでどれくらい風味に違いが出るのか?
についてざっくりとお伝えできそうです。
使用した茶葉の紹介
まず、今回の比較に使用した茶葉をそれぞれ簡単にご紹介します。
飲み比べ前に単体での感想もとっているので、メモ程度にまとめて記載します。
ルフナFF1
ミルクティー向けとして入荷された茶葉。細かい・やや丸まった形状。
乾燥状態・カップ時に立ち上がる香りはあまり強くない。口当たりがほろ苦く、ストレートで飲むと少し甘みを補強したくなる印象がある。
ミルクを入れるとよく馴染む。
ルフナFFEXSP1
非常に細かく、さらに小さな金芽がふんだんに入っている。
カップ時の香り立ちがよく、黒糖やカラメルを連想する甘い香りが強い。
口当たりでは渋みを感じやすく、フルボディタイプかつ茶葉が細かいので濃く出やすい(差し湯等で調整するほうが飲みやすい)
余韻にはやや青み。ホップのような華やかさがある。
2種類のルフナを比較してみた
前置きが長くなりましたが、いよいよ比較していきます!
使用するのはノリタケ製のテイスティングカップです。
茶こし部分(ギザギザ部分)のキレがよく、液垂れしにくい気がします。
今回のような比較をしたくなったとき、器ごとの口当たりの違いが出ない・バイヤーに寄せた条件で風味をとれる(国際規格)ため、一組もっておくと便利です。
今回どちらもフルボディタイプかつ推奨条件が3分なので、3分蒸らしで揃えて抽出しています。(ISO規格では通常6分蒸らしです)
ISOでの審査のように嫌なところを探す形ではなく、一般に飲まれるであろう茶液での違いを比較しています。
外観
「ベースの黒いところは同じくらいかな?」と思っていましたが、並べてみるとEXの方がもう一段細かいように見えます。
計量中もFF1のほうが嵩張るような感覚がありました。
形の揃い方などはどちらも同じ程度に見えました。
抽出
(ライト下で見るとよりわかりやすかったので、単体時とは違う場所で茶液を撮影しています)
明らかに金芽入りタイプのほうが濃く出ています。(等級が高いほうが軽やかそうなのに!)
茶液をレンゲで持ち上げてみると、EXにはぬめるような重みがありました。恐らくですが、芽から出ているうまみ成分によるものかな?
香りの比較では、単体で飲むよりもはっきりと上品な花香の有無が感じられました。
単体で飲んだときの印象では(EXもルフナらしい黒糖系だな~)と思っていましたが、比較するとFF1の方が正統派の黒糖の香り。EXはやや青みを伴う花香があり、スペシャル系らしい要素としてはっきりしています。
味わいは、比べるとFF1のほうがやや木質のドライなタイプに感じてしまいました。ただし中盤の味の詰まり方などは非常に良く、味わいの面ではさらっとしていて飲みやすい。香りが甘いため、釣り合う甘みを想像してしまうのかもしれません。常飲向きはこちらかな?
一方で味わいに欠点がないと感じていたEXロットは「うまみ感が強すぎるかもな?」という感想を抱きました。口当たりの時点でとろっとした重い茶液、後口には青みの渋みがあり独特です。香りを際立たせる作り方によるものかな。
芽のうまみが苦手な人の場合、FF1のほうが好みということもありそうです。
葉底
葉底は単体での印象と大きく変わらないものの、芽のぷりっとした輪郭の存在感は際立っています。
ポット淹れではあまり期にしていなかったのですが、テイスティングカップでは抽出後のEXの茶殻付近にアクが残っていました。(中国茶等でもよく見ますが、茶葉からもアクは出ます)
口残りに若干えぐみを感じるのはこれが理由みたいですね。
比較した感想
飲み比べをしてみると、単体で飲むよりはっきりとロットの個性を理解することができました。
今回比べたルフナは、どちらも「おいしいルフナ」であり、茶葉の大きさなども激しく違うわけではありません。
それなのにこんなに違うのか~!ってくらい違いますね。
産地や時期によってそれぞれだとは思いますが、今回のルフナでいうと
金芽をたっぷり入れたスペシャルティータイプの特徴は
「花香系の華やかさ(それを際立たせる作り方)」
といえそうでした。
ただし、その香りを際立たせる作り方に伴ううまみや青みは標準的なルフナの要素とは異なると感じました。
好みの問題ではありますが、人によっては引っかかりを感じてしまったり、期待と異なってしまうことがあるかもしれません。
「スペシャルティー=絶対おいしいやつ」ってわけではなく、むしろクセは強いから好み次第かも?ってことがなんとなく伝わったでしょうか。
そのうえで、クセを弱めたり強めたり、工夫しながら自分好みにお茶を淹れるのも楽しみ方のひとつだと思います。
終わりに
お茶について色々知っていきたいな~と思ったとき、今回のような飲み比べ形式をとるとそれぞれの特徴がよく見えます。
同じ産地・同じ種類のお茶の場合、どうしても全体の風味って似ているんです。オレンジジュースと林檎ジュースほどは違わない…っていうか…。
私は比較的お茶を飲み慣れている方ではあるのですが、やっぱり何種類かを一気に淹れて飲み比べをしないと違いをはっきりと言葉にできないことがあります。比べてみるとすぐピンとくるのに!
もし「お茶をたくさん飲んでいるつもりなのに、あんまり違いがわからないな…」と行き詰まっているなら、ぜひテイスティングカップで飲み比べをしてみてください。
私も最初は、交互に飲んだりすると混乱してしまわないかな?って思っていたのですが、意外と平気ですよ。
そして、やってみると単体では分かりにくかった違いが見えてきて「お茶のことちゃんと飲めてる!」って実感が湧くはずです。
今回のような同じ種類のお茶同士でなくても、意外な風味が見つかって面白いのでぜひ気軽に楽しんでみてくださいね。