【ダージリン夏2021】タルザム茶園 DJ-30の感想

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こんにちは、銀猫です!

今日は2021年のダージリン夏摘みから、紅茶専門店シルバーポットタルザム茶園のDJ-30ロットを飲んでみた感想をまとめました。

普段は中国交配種ばかり飲んでいる私が久々に選んだクローナル品種なのですが、しっかりと厚みのある味わいと華やかな香りでとても満足できましたよ。

ちなみに、淹れ方にも味わいにも難しすぎるところがなく、お茶初心者さんにもおすすめできるロットだと思います。
「これから紅茶を飲む習慣を作ろうかな?」と考えている方もぜひ気軽に試してみてくださいね。

それでは、茶葉の紹介から見ていきましょう!

タルザム茶園 DJ-30ってこんな感じ

紅茶専門店シルバーポットさん公式の說明はこんな感じです。

ブドウともムスクとも言えぬ艶やかな芳香を、ユリのようなフラワリーさが更なる高みへと飛翔させて、飲み手の気分も高揚するようなセカンドフラッシュ。
味わいはキリリとしてはいても渋み少なく、とても飲みやすい。

使用品種はT78とB157。
ともにシルバーポットが大好きな品種ですが、中国種マスカテルの香りに近く迫りつつ、独自の深い世界を創るB157は最も惹かれる品種。
その魅力がたっぷり詰まった紅茶をご紹介する事ができ、これ以上嬉しい事はありません。


お値段は50g3,672円です。
公式での紹介にある通り、香り・味ともにクオリティが高いのでこのお値段は適正だと感じました。

タルザム茶園はクローナル専門

タルザム茶園は「サングマで育てられたクローナル品種が出荷されるときにつけられる茶園名という特徴があります。
洋服やコスメと同じように、同じ会社でも商品タイプによってブランド名を変え、シリーズごとに見てもらいやすくしているのと似た感覚でしょうか。

この方式のいいところは、ダージリン好きのなかでも好みが分かれやすい「中国交配種かクローナル種か」を茶園名の時点で見分けられることです。
品種名の情報まで詳しく書かれていないショップでも、この2つの茶園ならどっちのタイプか簡単に見分けることができます。

クオリティの高い紅茶が多いので、飲み比べて2つのタイプの特徴を把握するのにもぴったりですね。

タルザム茶園 DJ-30を実際に飲んでみた様子

前置きが長くなりましたが、それでは実際に淹れていきましょう!
今回の抽出条件は5g300ml3分です。

茶葉はしっかりと葉が大きめです。茎部分はあまり見られません。
葉を細かく見ていくと、やや緩く撚られた葉ときつく撚られた葉が混在しているようにみえます。白い芯芽もあり、見た目が華やかですね。

部位によって食感が違うものの、全体としてはよく乾いていて軽い食感でした。
青さを残さない伝統的なタイプの味わいが期待できそうです。
味わいは、大人びたブドウが最初に来て、後からゆっくりと穏やかな渋み、口の中で開く百合が追いかけてきました。

温めたポットに茶葉を投入すると木質混じりのブドウの香りが立ちました。
カップでの香りがかなり期待できそうですね!

注いでみた様子はこんな感じです。

カップでシュワっとしたマスカテルがしっかりと香ります。茶葉投入時に感じた木やブドウの印象もあり、そのまま素直に抽出されています。
飲んでいると、口の中でぱっと百合の花が開き、喉から鼻へと香りが抜けていきます。
落ち着いているのに華やかで、とてもきれいな香り方ですね。気に入りました。

全体的に輪郭がくっきりしていて香りがとりやすいですが、中国交配種のような鮮やかなパンチではなく、滑らかで上品な印象です。

味わいは、中程度のボディでスムーズです。
中国交配種とはやや趣が異なりますが、甘み・渋みそれぞれが楽しめる深みのある味わいです。
花香の鼻抜けが非常によいことも味わいに深みを足しているようですね。

品種の特徴なのか、最初と最後に少しほろ苦さ混じりの渋みがありますが、サングマと比べるとかなり穏やかな印象。
冷めると渋みが強調されるので、温かいうちに楽しみたいお茶です。

ちなみに、湯量を400mlにすると苦味がほとんど気にならなくなりました。
味わいも少し軽くなりますが、バランスは崩れないのでおすすめできそうです。

茶殻

茶殻も非常によい香りがします。中国交配種からよく感じるシュワッとした香りがあって驚きました。ビールのホップのような華やかな香りと、乾いたナッツの香ばしさがあります。

冷めるとスーッとした蜜の香り。
これはやや青めの製茶のダージリン夏~ネパール夏からも感じる香りです。

水出しにすると、ほろ苦さ中心に抽出されました。現在の抽出条件でおいしさも香りもしっかり出きっているようです。

タルザム茶園 DJ-30の味わいの感想

それでは、全体の印象を整理してみましょう!

甘み ★★★☆☆
渋み ★★★☆☆
香り ★★★★★
重厚感★★★☆☆

何度か淹れてみても香り・味ともにブレがなく、非常に扱いやすいダージリン夏摘みだといえそうです。
難しい抽出条件の調整も必要ないため、お茶初心者さんやあまり道具を持っていない方でも大丈夫!

冒頭でご紹介したシルバーポットさん公式の説明通り、香りがとてもすばらしいです!
少し渋み・苦みもありますが、ダージリン夏特有の香りや飲みごたえを出すために削れない要素なのではないかな?と感じます。

(同じく紅茶専門店シルバーポットさんの2021年ダージリン夏の)サングマDJ-66ロットと比較すると、タルザムの方が柔らかく穏やかな雰囲気です。
強すぎるクセがないので飲みやすさの面でも万人受けすると思います。

全体的に、クローナル種でこれだけの飲みごたえと深み、マスカテル香が感じられることに非常に驚きました。
チャイナ種ファンのお茶好きさんにもぜひ飲んでみていただきたいです。

タルザム茶園 DJ-30のおすすめの楽しみ方

このロットは「繊細なバランスを保って単体で完成している紅茶だな」と感じます。
重みのあるお菓子や、苦み・酸味の強いお菓子を合わせると、お茶の持つ特定の要素が強調されてしまい、バランスが崩れてしまう…!というハラハラ感があります。

一方で、ほどよく同じ要素あるお菓子を組み合わせると、単体で飲むのとは違う表情が楽しめるお茶でもあります。

今回合わせてみたのは無印良品の焼きりんごバウムです。
このお茶とお菓子はしっとりした甘みの印象がよく似ていますよ。
そうすると、このタルザム夏だけが持っている百合のような花香が浮き上がり、よりハッキリと楽しめるんです!

余韻で静かに香っていた花が一口目から感じられる、面白い食べ合わせとしてオススメです。

 終わりに

私は、普段はどちらかというとサングマ、つまり中国交配種を好んで購入するタイプです。
今回このロットを購入したのも「中国種マスカテルの香りに近く迫りつつ、独自の世界観を創る」と書かれていたB157品種のことが気になったからでした。

飲んでみると、今まで中国交配種からしか感じられなかった特徴がしっかりと出ています。
強弱や鮮やかさの違いはあるものの、今までは「クローナル種のダージリン夏ってまったく別の風味の香り・味わいだなー」と思っていたので本当にびっくりです。茶園の努力が感じられました。

そのなかに、クローナルらしいな、と感じる豊かな花香や穏やかさを兼ね備えているのも非常に興味深いです。
マスカテル香と花香が共存し、調和しているのもとても不思議な感じで、いい体験ができました。
(花香はT78品種の方の要素なのかな?)

今後、もしかしたらクローナル系の品種に注目してダージリン夏を買う機会が増えるかもしれません。

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