
こんにちは、銀猫です。
今日は久々に「お!これは面白い!」「だが、この面白さをここから読み解くのは難易度高いな…!」と感じるお茶がありました。
それが静岡茶の専門店葉桐さんが出しているこちらの いんざつ棒焙じ茶 です。
分かる人には分かる面白いお茶なのですが、マニアにしかわからない暗号みたいになってるので初心者向けに面白要素を解説していきます。
これは、間違いなく、売れ続けてほしい・なくなってほしくないお茶です。
実際に買った商品はこちら
表面はオンラインショップと同じように棒ほうじ茶!って書いてあるだけなので割愛します。情報が詰まっているのはこの裏面のラベルです。
私は葉桐の楽天市場店で買いましたが、商品ページに書かれているのも基本的にラベルと同じ情報です。
といっても、普段日本茶を飲まない人や初心者さんにはさっぱり分からないと思います。
今日は、ここに散りばめられているマニア向け情報を読み解いていきます。
「いんざつ棒焙じ茶」の「いんざつ」ってまず何?
まず、静岡茶のプロである葉桐さんは「いんざつ」で「これ、何なのかみんな分かるはず!」みたいな顔をしていますね。難易度高いな…。
商品説明は一応あり、
遙か海を越えインドより伝わった種が、日本の大地に根付き生まれた「いんざつ」。
と書いてあります。
つまり、この「いんざつ」はインドから伝来したアッサム系国内実生選抜品種の印雑131のことだと思われます。
簡単に言うと、インドから持ってきたアッサム系茶樹と日本のチャノキを交配させて生まれた品種です。
この子どもの蒼風や藤かおりと同様にアントラニル酸メチルからくる独特の花香があり、品種による特徴がわかりやすいお茶です。
華やかさのあるお茶なのに、なんかすごい雑草みたいなネーミングをされていますよね。インドの雑種でしょ?みたいな…。
子どもの方は日本茶の品種茶として定番になっており、実際に葉桐さんでも産地違い含めたくさん扱われています。
ですが、印雑131自体は名前から風味が想像しにくいためかややマイナーな品種です。(葉桐のオンラインでも取り扱いはなかったような…)
なので、「いんざつ」でピンとくるのは結構なマニア層だけなんじゃないかな。
実は棒でも「ミルい」やつ
次に、茶葉の様子を見てみてください。
あれ?と思いませんか。よく売っている棒焙じ茶と何かビジュアルが違いますよね。
これ、ミル芽の棒(茎)だけを使っているみたいなんです。このいんざつ棒焙じ茶商品説明にもさり気なく「みるい棒の」と書かれています。
でも「みる芽」ってそもそも何だ?と思いますよね。
業界的には、
柔らかい新芽(まだ葉が開ききっていないもの)
を指すそうです。
これは元は静岡の方言であったものがお茶業界の用語として定着したそうです。
なので、お茶好きの方であっても紅茶や中国茶方面の方であれば分からないのも当然かもしれません。
実際に飲んでみると、一般的な棒焙じ茶の柔和で低カフェインなイメージに反し、芽に近い部分を使っていることによるしっかりしたカフェインインパクト(?)を感じました。
カフェインに慣れていても、寝る前に飲むのはやめとこうかなってくらいには覚醒します。
また、棒であっても非常にしっかりとした花香があり、印雑131の品種特徴である葡萄やジャスミンのような香りが活き活きと感じられました。
実は受注生産!少量を手炒りしてる
この商品は1袋50g炒りなのですが、どうやら1日限定2袋しか生産していないようなのです。
大きくアピールされていませんが、よくよく読んでいくと実は手炒りなのだとか。
しかも、2013年頃の葉桐のブログを見ると、当時は社長さんが手炒り作業を担当していたことがわかります。
https://hagiricha.com/blog/2014/05/140526inzatsubou.html
大きな機械でやるほどの量は集まらないんだろうな…とか色々事情を察するところがありますが、やっぱり「え!?」と思います。
受注生産だから、ということもあって、お茶の袋を開けたときの焙じ茶の香りが非常に鮮やかで、酸化したようなところがなくて素晴らしかったです。
また、一般的な棒焙じ茶よりもやや焙煎具合が抑えられていて、烏龍茶でいう軽焙煎くらいの感じです。淹れてみたら水色も明るいです。
印雑131の良さ・ミル棒の良さが引き出された絶妙な具合だと感じました。お茶って、狙っているものがわかると非常に面白いですよね。
これが葉桐のいんざつ棒焙じ茶だ!
オンラインでもさり気な~く並んでいますが、なんだかずいぶんこだわりが詰まった商品ですよね。
ほかではあまり見ないようなオリジナリティの高いお茶だなと思いました。
そんな面白いお茶なのですが、お値段はなぜかかわいい寄りの設定で、50g540円で買えました。また「え!?」ですよね。
私は商品説明に散りばめられたお茶マニア向け情報を理解した瞬間に興奮しながら秒でポチりました。
ただし、1日限定2袋なこともあって在庫がないときもあるみたいです。運良く在庫ありのときに出くわしたら、ぜひ買ってみてください。
手炒りの加減が絶妙なので、初心者さんでも飲みやすい上に品種特徴はわかりやすいと思います。