堀江敏樹さん著「紅茶の本 紅茶とじょうずにつきあう方法」の感想

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こんにちは、銀猫です♪

今日は『紅茶好きのバイブル』という異名もある紅茶の本 紅茶とじょうずにつきあう方法の感想をお話します!
日本の紅茶の神様、ムジカの初代オーナーの堀江敏樹さんの本ですよ♪

「バイブルっていうくらいだから、最初に読んでおくべき?」と悩んでいる方も多そうですよね…。
本の雰囲気や私が特に面白いと感じたポイントなどもお伝えしていきますよ♪

初心者にも分かる内容かな?って気になっている方の参考にもなると思います♪

それでは、まずは堀江敏樹さんのことからご紹介します!

堀江敏樹さんについて

堀江敏樹さんは、
日本の紅茶好きさん5人に「紅茶界の偉人といえば?」と尋ねたら、必ず名前が挙がると断言できるほどスゴイ方です。
もはや紅茶界の隅々までその凄さは轟いていると思いますが、略歴をご紹介致します。

堀江敏樹さんは、日本で初めて本格的にポットで紅茶を供した店「ティーハウスMUJIKA(ムジカ)」の初代オーナーです。
インドやスリランカなど生産国に行って独自のルートを開拓し、日本で紅茶を日常的なものにしようと普及活動をされている方です。
現在も「日本の紅茶文化の生みの親」「ミスターティー」などと呼ばれ、各所から尊敬を集めています。

紅茶の本っていつの本?

内容に入る前にご紹介しておきたいのが、この本が出版された年代についてです。
私が読んでいるのは増補改訂版なのですが、
1992年5月22日増補改訂版第一刷発行
と書かれています。つまり、今から遡って25年も前ということです。
ちなみに、初版は1989年だそうです。

紅茶の本の感想

1951年(昭和26年)、高等学校二年だった私は進駐軍のキャンプでアルバイトしてたんです。(紅茶の本冒頭から引用)

装丁からなかなか古い本だろうと思っていましたが、いきなり圧倒されてしまいました。
書き出しから1951年まで遡られてしまっては「あっ、私の知っている紅茶や紅茶業界の知識は通用しないな」と降参するしかありません…。
先程、この本が出版された年代をご紹介したのもこの衝撃が待っているからでした。

内容としては、その後、ムジカとは切っても切れない関係の「リプトンの青缶」のお話に続きます。
堀江敏樹さんと紅茶の関係の始まりとなったのがリプトンの青缶で、その付き合いは何年経っても続いていて…というお話です。
噂では知っていたのですが、実際の経緯や青缶への思いを読むことができて嬉しかったです♪

その後「飾りになってしまった日本の紅茶」の話へと続きます。
紅茶が贈答用となり、紅茶缶の外見がもてはやされ、王室御用達などのキャッチコピーが重視されるようになったという話です。
この本では「そもそもこれは~」と事の起こりについて言及してくれます。
なぜ日本の紅茶文化がこんなふうになってしまったの?というのは、現代に生きる紅茶好きが最も知りたい部分かもしれません。

その後も変なやり方で紅茶を提供するお店の話や変なキャッチコピーなどのお話が続きます。
独特の親しみやすい語り口で、変な風潮や売り方をどんどん切り捨てていきます。
恐らく、今後こんなに面白く遠慮のない紅茶の本が出版されることはないだろうと思いました。

特に興味深かった部分

全篇通して「日本の紅茶の歴史」という感じがして、どれもこれも面白いのですが、特に面白かったものを挙げてみます。

まず、当時のパッカー(紅茶販売業者)がどういう戦略でどんなことをして、どういう結果になったのか…ということが詳細に記されている点です。
今の時代に私が同じことを書こうとすると「~年頃に~という業者が~という意図で~という試みをしたそうです。しかし、~~という理由で~~という結果になったそうです。」と、すべて伝聞調になってしまいます。
この本が面白いのは、当時を生きた堀江敏樹さんが「これはこういうものでした」とすべてあっさりと断言していらっしゃるところです。
現代の私達では「~といわれています」とは書けても、実際に体験していないので断言することはできません。

さらにいうなら「ティーバッグの功罪」はかなり面白い章でした。
なぜティーバッグをお湯にくぐらせる行水が生まれてしまったのか?」ということを当時の広告手法と合わせて記しています。
こちらも紅茶好きにとってはかなり気になる部分でしょう。

そして、堀江敏樹さんが実際に日本以外の国にも赴かれ、他国の紅茶文化に触れているのが素晴らしいなぁと思いました。
飛行機各社のティーサービスを比較するのも「紅茶の産出国」と「紅茶の消費国」という視点が持ち込まれると、格段に面白く感じます。
紅茶の消費国といえばイギリス?いいえ、ニュージーランドですよ!という切り口から、現地のスーパーの様子や各家庭のごみ処理設備の話にまで広がります。

現地に行って経験したからこそ、色んなことをスッパリと言い切れるのだろうなぁとも思いました。
あらゆるシーンで紅茶に注目していく、堀江敏樹さんの観察力もとても印象に残りました。

「紅茶の本」に古さはある?

「古い本(古い知識)って、今はもう役に立たないんじゃない?」
紅茶に限らず、なんとなく知識って新しい物にどんどん刷新されていくイメージがあるかもしれませんね。

しかし、紅茶に関しては「今も昔も基本的なおいしい淹れ方は変わらない」と思っています。
現在も当時(1989年)と同じく、紅茶を淹れるのに画期的な道具や斬新な方法は不要です。
更に歴史を遡ると、18世紀のイギリスの「おいしい紅茶の淹れ方」も現在と大した違いはないようです。
なので、淹れ方や使う道具や順序にも大きな変更はありません。

そして、この本を読んでみると、知識というよりも歴史を記した本という印象があります。
この時代の紅茶業界の状態が詳細に書かれているので、当時の息遣いを感じられるような気がします。

初心者におすすめできる?

この本は紅茶の入門や体系的な勉強をするためにはあまり向いていないようです。
しかし、ある程度紅茶が好きになり、日常的に紅茶を飲むようになったときに読むととても面白い本です。
本当に声を出して笑ってしまうようなシーンが多々あると思います。(私はたくさん笑いました)

たとえば、現代に生きる紅茶好きの私達が
「どうしてこんなことになるまで放っておいたんだ!」「昔の紅茶好きは何をしていたんだ!」「日本の紅茶文化に何が起きたんだ!」
と疑問や憤りを感じているとき、この本を読むと
「それは…という経緯だったのだ」
と、ほとんどのことが説明されています。

まるで預言書のようで、とてもびっくりしました。
私がつい先日感じた疑問は数十年前に原因があって現在まで続いていることで、20年以上も前にこの本で言及されているのです。とても不思議な感覚です。

挿絵として当時の資料をたくさん拝見できますし、パッカー(紅茶販売業者)の名前も伏せ字なんてありません。
そんな状態でいろんな疑問がバッサバッサと切り捨てられていく痛快な本として、楽しむことができるでしょう。

紅茶の本の感想のまとめ

この本を読む前は「紅茶好きのバイブルってなんだろう?秘伝の奥義みたいなコツが書かれているのかな?」と思っていました。
そんなふうに思っているとき、大好きな紅茶専門店の店主さんからこの本を貸して頂きました。

親しみやすい語り口と表現のコミカルさと、たくさんの挿絵のおかげであっという間に読み終えてしまいました。
読書が苦手な方でも紅茶が好きなら、きっと楽しく読み進めることができますよ♪

そして、読んでみてすごく腑に落ちました。
まず、過去に遡って紅茶好きの気になる問題や疑問を解き明かしてくれます。
そして著者の堀江敏樹さん、つまり日本の紅茶の神様と紅茶に対する愛情を共有することができる本なのですね。

紅茶の本 紅茶とじょうずにつきあう方法が、紅茶バイブルと呼ばれる理由がわかったような気がします。
私も今日から紅茶人間を名乗りたくなりました。

そして、何の担保もなくこの本を貸してくださった店主さんにも大変感謝しております。
どんな風に感想を伝えようか?と既に楽しみになっています。

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